『「言葉にできる」は武器になる。』その実践方法を徹底解説!

更新:2021.11.23

自分の思っていることが伝わらなくてモヤモヤという経験はありませんか?今回ご紹介する『「言葉にできる」は武器になる。』はそんな悩みを持った人に向けて、どうしたら人に伝わる言葉を生み出せるのかを解説してくれる一冊です。著者は数々の名コピーを生み出してきたコピーライターの梅田悟司。「言葉にできる」ということがなぜこれからの時代「武器」になっていくのか。そしてどうすれば「言葉」という武器を身につけることができるのか。本記事では『「言葉にできる」は武器になる。』の内容を具体的に説明していきます。読み終えた時、もっと自分の言葉を磨きたいと思ってもらえれば嬉しいです。

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1分でわかる!『「言葉にできる」は武器になる。』内容まとめ

『「言葉にできる」は武器になる。』は、なぜ「言葉にできる」ことが武器になるのか、どうすれば自分でもその武器を体得できるのかをわかりやすく解説してくれます。

仕事やプライベートにかかわらず、「自分の言いたいことが伝わらない」「SNSの投稿の反応が薄く、もっと人を惹きつける言葉を使いたい」といった言葉の課題を感じている人も多いのではないでしょうか。

数々の名作コピーを生み出した著者の梅田氏は、どうやって伝わる言葉を生み出しているのか、と多くの人から同じような質問をされてきたと言います。

この問いに対する梅田氏の答えは、

「言葉が意見を伝える道具ならば、まず、意見を育てる必要があるのではないか?」
(『「言葉にできる」は武器になる。』P4より引用)

というものです。

著者
梅田 悟司
出版日
2016-08-26

言葉は、人とコミュニケーションをとるための「外に向かう言葉」と、自分の思考を深めるための「内なる言葉」の2種類あります。

多くの人が課題意識を持っているコミュニケーションツールとしての「外に向かう言葉」。これを磨くには、そもそも自分の考えを広げたり奥行きを持たせるための「内なる言葉」への意識が不可欠なのです。「内なる言葉」と向き合い、自分の思考を深めることで、自分の言葉に重みを持たせ相手を動かす「外に向かう言葉」も磨かれていくのです。

本書では、「外に向かう言葉」と「内なる言葉」の丁寧な解説、そしてその磨き方がわかりやすく提示されています。


「言葉にできる」を武器にする具体的方法を解説!内なる言葉の磨き方

「言葉にできる」を武器にする具体的方法を解説!内なる言葉の磨き方
https://free-materials.com/

すでに紹介したとおり、言葉には「内なる言葉」と「外に向かう言葉」の2つがあります。人に何かを伝えるには、自分の意見・自分の視点である「内なる言葉」を育て、それを「外に向かう言葉」に変換する必要があるのです。

それでは、どのようにして自分の「内なる言葉」を磨き、「外に向かう言葉」に適切に変換すればよいのでしょうか?ここからはその具体的な方法を解説していきます。

正しく考えを深める思考サイクル7つ

普段、梅田氏が思考を深めるためにおこなっているのが次の3つのステップです。

①内なる言葉をアウトプットする
②アウトプットされた思考の断片を拡散させる
③最後は普段自分が考えないことまで化学反応を起こす

この「思考のサイクル」を繰り返すことで、自分の「内なる言葉」が磨かれていくのです。そして、この3つのステップには具体的な7つの手順があるので、順番に紹介していきます。

手順① 頭にあることを書き出していく

何か新しいことを考え始めたとき、じっくり考えたと思っていても、人に話そうとしたらあやふやだった、という経験はありませんか?人はしっかり頭の中で考えたと思っていても、意外と言葉にできないものです。

そこで、まずは頭の中を覗くために、A4用紙に思いついたことをリズムよく書いていきます。紙がもったいないと思っても、どんどん自分の「内なる言葉」を書いていきましょう。

手順② 「T字型思考法」で考えを進める

①で書き出した「内なる言葉」を、「なぜ?」「それで?」「本当に?」の3つの言葉で拡張し、深めていきます。

「なぜ?」という質問で、「内なる言葉」が浮かんだ根本的な自分の思考の源泉や価値観を確かめます。「それで?」という質問で、自分は結局何が言いたいのか、何がしたいのか、考えを進めていきます。

そして、「本当に?」という質問で、自分が考えていることをあらためて問い直し、それが自分の本音なのか、建前の言葉を並べているだけではないのか確認していきます。

拡張して書き足したものが、①の言葉を中心に「T字」に見えるため「T字型思考法」と名付けられました。

手順③ 同じ仲間にグルーピング

次のステップは②で広げた考えを整理していく段階です。紙に書き出して、深めていった自分の「内なる言葉」たち。それらをできるだけ客観的に同じ考え方をしているもの同士でグルーピングしていきます。

こうすることで、自分の思考の癖を見つけたり、偏った考え方をしていないか確かめることができるのです。

グルーピングができたら、各グループに名前をつけていきましょう。たとえば、自分の将来というテーマで考えを進めていた場合、「仕事とプライベート」「将来のなりたい姿」「家族との関係」などのラベルが貼れるはずです。

手順④ 視点を拡張する

グルーピングまでのプロセスを経ると、自分は広く考えていたつもりでも、思ったより視野が狭くなっていた、同じことばかり考えていたと、などの気づきがあるはずです。

そこで手順④では、まずグルーピングの数に着目していきます。たくさん考えたけれど思ったよりグループの数が少なかったと気づいた人は、他にもグループが作れないか考えを広げていきます。

先ほどの例を使うと、たとえば「友人との関係」が追加されるかもしれません。そして、足りていなかったグループを拡張できたなら、次は各グループ内で考え漏れていることがないか深めていきます。

ここでも先ほど登場した「なぜ?」「それで?」「本当に?」という3つを問いかけ続け、「こんな可能性は考えつかなかった」というところまで思考を進めます。

手順④までやり切ると、重複なく、漏れのないところまで自分の思考を形にすることが可能です。

手順⑤ 時間を置いて、きちんと寝かせる

自分の頭の中がどのような構造になっているのか把握できたところで、次のステップは「何もしない」ということです。

常に同じことばかり考えていると、どうしても無意識に考えが狭まってしまうため、客観的に自分の考えを見るためにあえて間を空けるのです。

手順⑥ 真逆を考える逆転の発想

十分に時間を置いて寝かせたら、あらためて自分の考えをまとめた紙を眺め、自分の常識では考えない「真逆の発想」へと思いを馳せてみましょう。

真逆を考えるということは、自分の常識や先入観から抜け出すことであり、これまでの自分では思いつかなかった領域まで思考を広げることです。

たとえば、手順③でグルーピングした「将来のなりたい姿」で専門家になりたい、と書いていたならば、あえて何でも屋になった未来を考えてみてください。そしてその思考をさらに広げ、深めていくことでこれまでにない発見があるかもしれません。

手順⑦ 違う人の視点から考える

最後の手順⑦は他の人の立場になって考えることでさらに思考を進めるプロセスです。特定の誰かになりきって、その人だったらどう考えるだろうかと複眼的な視点で物事を捉えるようにします。

複眼的な思考をすることで、自分の「内なる言葉」の中に、自分以外の「内なる言葉」が追加され、より広く物事を見ることができるようになるのです。

このような7つの手順を踏むことで、自分の思考は頭の中で考えていただけの時よりも遥かに明確になってくるはずです。


「言葉にできる」を武器にする具体的方法を解説!外に向かう言葉への変換

プロがおこなう言葉にするための2つの戦略

ここまで説明した7つの手順はいわば「内なる言葉」を磨いていくプロセスです。

しかし、いくら「内なる言葉」を磨き伝えたい思いが大きくなっても、具体的にどう言葉にすればよいのかわからなければ伝わることはありません。ここからはその磨いた自分の「内なる言葉」を、人に伝える「外に向かう言葉」に変換していく2つの戦略を紹介します。

1:言葉の型を知ること。

ここで言う「型」とは「たとえる」「繰り返す」「ギャップを作る」「言い切る」「呼びかけ」の5つです。どれも国語の授業などで触れたであろう内容ですが、普段から意識的に使えている人は少ないのではないでしょうか。

これらの型を意識しうまく活用することで、強い言葉、わかりやすい言葉が生まれていきます。

2:言葉を生み出す心構えを持つこと。

梅田氏はコピーライターとして、数々のコピーを生み出していますが、みんなに伝えようとすると、誰にも伝わらないと言います。大勢の人へ何かを伝えようとすると、相手の顔が見えなくなり、話す中身もぼんやりとしたものとなってしまうのです。

そこで、たった1人のために言葉を生み出すことをいつも気を付けているのです。まずは1人の個性や思い、悩みに深く想いを馳せ、どういう言葉なら伝わるのか考え抜きます。

そして、その内容が多くの人に伝えても同じだけの理解を得られるのか検証するのです。

『「言葉にできる」は武器になる。』名言3選!

『「言葉にできる」は武器になる。』名言3選!
https://free-materials.com/
人を「動かす」ことはできない。「動きたくなる」空気をつくる。
(『「言葉にできる」は武器になる。』P54より引用)

これまでコピーライターとして、「人を動かす」広告を作ってきた梅田氏ですが、「人を動かすことはできない」と断言します。どういうことでしょうか?より正確には「人が動きたくなる」ようにしかできないと言うのです。

たとえばあなたが営業の場合、いくら耳ざわりのよい言葉を並べても人に買わせることはできません。相手が自ら「必要だ」「欲しい」と思ってもらわなければ購入するという行動は発生しないということです。

上辺だけの言葉ではなく、その人の立場になりきって言葉を投げかけるように意識してみてください。言葉に向き合い、言葉を磨いてきた梅田氏だからこそ人を動かすことはできないという考えに至ったのだと思います。


自分の考えを狭めているのは、いつだって自分である
(『「言葉にできる」は武器になる。』P134より引用)

人は、基本的に自分という枠組みの中で物事を思考しています。ずっとこの枠組みに囚われていると思考は広がっていきません。

だからこそ、自分だけではなく違う人の視点から考えるというプロセスが重要なのです。

他の人だったらどう考えるのか、という視点を意識的に取り入れることで、無意識に自分という枠組みの中で思考していたことを気づかせてくれます。


気持ちを整理し、さらけ出す。その熱量に心は動かされる。
(『「言葉にできる」は武器になる。』P152より引用)

人の心を感動させる名スピーチは、流暢な話し方をマスターしたから生まれるのでしょうか?前の章でも触れたとおり「外に向かう言葉」だけを磨いても人の心は動きません。

自分の「内なる言葉」に向き合い、あふれてくるどうしても伝えたい思いの強さに、最終的に人は心を動かされるのですね。


実践編!『気持ちを「言葉にできる」魔法のノート』で力を付ける!

ここまで、言葉にするためのプロセスを紹介してきました。しかし、理解できたつもりでも、いざ自分で実践しようと思うと難しいものです。

そこでここでは梅田氏が書いた『気持ちを「言葉にできる」魔法のノート』という実践のための一冊をご紹介します。


著者
梅田 悟司
出版日

この本は「実践シート」というシートを使い実際に手を動かすことで「内なる言葉」を磨き、「外に向かう言葉」に変換する方法を定着させることができます。

構成は、自分の気持ちを伝えることが苦手な僕と、言葉の妖精「コトバード」とのストーリー形式で、誰でも手に取って読みやすい内容となっています。

いきなり自分で全てを実践することが難しいと感じた方は、こちらも手にとって実践ノートに沿って理解を深めていくこともおすすめです。


数々の名コピーを生み出してきた梅田悟司とは

ここまで紹介してきた『「言葉にできる」は武器になる。』。著者である梅田悟司の経歴を簡単にご紹介してみましょう。

梅田悟司は大学院在学中にレコード会社を起業後、電通に入社しマーケティングプランナーを経て、コピーライターとなります。

カンヌ広告賞、レッドドット賞、ギャラクシー賞、グッドデザイン賞、観光庁長官表彰など国内外30以上の賞を受賞されてきました。2014年からは4年連続でCM総合研究所が発表するコピーライターTOP10に選ばれています。

日本コカ・コーラ/ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、リクルート/タウンワーク「その経験は味方だ。」「バイトするなら、タウンワーク。」など数々の名作コピーを生み出しています。

本作は、コピーライターの最前線で活躍する梅田悟司が自身の経験から、言葉をどのように捉え、磨けばよいのかをまとめた一冊なのです。

おすすめ関連本①他のコピーライターの本が気になる人はこちら!

他のコピーライターが書いた言葉に関する本も気になる、という方にはこの本をおすすめします。

著者
阿部 広太郎
出版日

コピーライターでなくても、営業や広報、企画、編集など「言葉」に関わる仕事をしている人はたくさんいます。

そのような人たちが、人を動かす「伝わる言葉」を生み出すために、どのようなマインドを持てばよいのか、そしてどのような技法があるのかを自身の体験や実例をふんだんに交えながら丁寧に解説してくれる一冊です。

おすすめ関連本②ビジネスマンの間で話題の『言語化力』

『言語化力』の著者、三浦氏も自分の価値を明確にし、自分の願いを叶え、自分を成長させるたった1つの、そして最強の武器は「言葉」だと言います。

誰でもより自由に発信できるようになったこの時代、大切となるのは「自分の言葉で話せるかどうか」、そして「言葉で他者を動かせるかどうか」です。

著者
三浦 崇宏
出版日

この本では三浦氏が実践する、言葉化力を身につけるための具体的なプロセスが記されています。梅田氏の考え方と見比べて読み進めると、新たな発見があるかもしれません。

おすすめ関連本③プレゼンテーションについても学ぶならこちら

この本は特にビジネスの場面において、人に伝わる言葉を身につけていきたいという人におすすめの一冊です。


著者
伊藤 羊一
出版日
2018-03-14

著者の伊藤羊一氏は、孫正義氏の後継者を育成する学校であるソフトバンクアカデミアの国内CEOコースにおいて、年間1位の成績を修めています。そんな彼が、どのように話を組み立てると相手が理解してくれるのか、動いてくれるのかわかりやすくポイントをまとめてくれています。

相手に響くプレゼンの話し方、ストーリーの組み立て方を学びたい、という人にはぜひおすすめです。


『「言葉にできる」は武器になる。』を図解でわかりやすく!おすすめYouTube動画を紹介!

『「言葉にできる」は武器になる。』を動画でわかりやすく解説してくれるYouTubeもご紹介します。

1つ目は「7分で学ぶ『言葉にできるは武器になる』」です。

この動画はたった7分で本書のポイントをわかりやすく解説しています。

図を使いながらポイントをまとめてくれていますので、時間がないけど本書の要旨を知りたいという人はこの動画がおすすめです。

2つ目は「「言葉にできない」ことは、「考えていない」のと同じである」です。

この動画は話し方の学校学長である鴨頭嘉人氏が、この本のどこがよいのかをかなり詳しく解説してくれています。私自身、本を読んだ後にこの動画を見てさらに本の内容の理解が進みました。合わせて見ることをおすすめします。

仕事やプライベートでうまく伝えられずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。『「言葉にできる」は武器になる。』はそんな悩みを持った人が、小手先のテクニックに頼ることなく、本質的に言葉を捉え直し、磨いていくことができる本ですぜひ実際に本を手にとってみてください。本書の内容を実践して「内なる言葉」と「外に向かう言葉」を磨き、「言葉」という武器を手に入れていただければ嬉しく思います。

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